【シルル寓話】~3人のレンガ職人~
◇出演
・レンガ職人A、B、C:ヤキッチ(一人三役)
・旅人:クリッチ
旅人が歩いていると、一生懸命にレンガを運んでいる職人がいました。
何を作っているのかなと気になり、声をかけてみることにしました。
こんにちは、職人さん
何を作っているのですか?
見ればわかんだろ
レンガを積んでるんだよ!
職人さんのお話では、弟に頼まれて花壇を作っているとのことです。
終わったらプリンをもらえることになっているとか...
旅人は面倒そうに答える職人さんに励ましの言葉をかけて歩き続けました。
しばらくすると、同じようにレンガを運んでいる職人さんを見かけます。
こんにちは、職人さん
何をしてるのですか?
オレの家を守るために
レンガを積んでんの
職人さんのお話では、家のなかに大事なプリンを置いているので泥棒が入らないようにレンガの塀を立てているとのお話でした。
旅人はちょっと不安そうな職人さんに労りの言葉をかけて再び歩き続けました。
しばらくすると、またレンガを運んでいる職人さんがいます。
(レンガ職人さんがたくさんいますね...)
こんにちは、職人さん
何を作っているのですか?
もう、誰も入れないように
壁をつくってるんだよ~!
職人さんのお話では、大事に置いていたプリンを弟に食べられてしまったとのことです。
2度とこんな悲しい思いはしたくない、安心な世界で生きていきたいと高くて硬い壁を作っているとのことです。
旅人は泣きながらレンガを高く高く積み上げるレンガ職人に慰みの言葉をかけて再び歩き続けるのでした...
あれでは
自分も出られなくなりますよ...
おわり
......
皆さま、こんにちは
ミノです
いきなりどこかで聞いたような話から始まりましたが、今回のテーマを整理しているときに、このお話が頭に浮かびました。
「自分が相手に迷惑をかけている」
人との関係が深まっていくと、決まったようにこの思いに囚われていきます。
そして、自分から相手と距離を置いたり、関係を絶ったりということをしてしまいます。
過去を思い返すと、近付いたり離れたりしながら、だんだんと距離を置いていって疎遠になるなんてことは多々ありました。
人と親しくしたいという気持ちはあっても、「迷惑をかけているかも」という不安に耐えられなくなるんですね...
その不安から隠れるために、自分で相手との間に壁を作り、その壁をどんどん高くしていくと。
そうすると相手から自分は見えなくなってしまう...
安心の世界が出来上がって良かった...となるはずなんですが...今度は孤独感に苦しむことになってしまいます...
知り合いと呼べる人はいても親友と呼べる人がいないのは、私自身が望んでそうしているんだなって思います。
自分で壁を作っておきながら、人とは仲良くしたい...うん、まさに両価的感情(アンビバレンス)というやつですね。
その根底にあるのは、毎度の自己無価値観
「自分は人から嫌われる人間だ」
「自分は価値のない人間だ」
ということだと思います。
何で?
なぜ、そんな無価値観を持ったかというと...
子供のころに緘黙症(←リンク)の経験がある私は、日常的に孤独を感じていました。
そして
「仲良くなるためには、役に立つようにならなければ」
「役に立つ人間になれば、孤独ではなくなる」
という思いが強くなっていきました。
しかし、この考えはなかなか危険で、これで相手と仲良くなれることはなく、いいように利用されるという結果になります。
相手からすれば
「何も文句を言わないから便利」
「あいつには何をしてもいい」
ということでしょう。
人から利用される、軽くみられる、頑張っても仲良くなれないということを繰り返し、私の自己無価値観はがっしりと心に根を張り大きく育ったということだと思います。
そうすると...
人生の中でこの感情は頻繁に顔を出します。
「誰かの役に立ちたいな」
という思いと
「私なんか誰の役にも立たない」
という矛盾する思いが心の中を行ったり来たりします。
そうして、相手との間にせっせと壁を作っていく作業が進んでいくということですね。
おそらく最後は「これ以上、傷つきたくない」という感情に行き着いているのかなと思います。
これに、どう向き合えばいいんでしょうね...解決することってあるのかな...
対策をジュニアから
ワタシの対策①
自分を知る
まずは自分の心を理解しておくことが必須です。
私の場合には、本を買ったり図書館で借りたりして、必死に救いを探しているうちに自己分析するようになりました。
でも、自分を理解したから納得して行動が変わるということはないです。
私ぐらいしっかりと自己無価値観が根をおろしていると、一時的に切り取ってもまた大きく育ってきます。
気持ち一つで変われるなら、こんなに苦しまないと...
現在の私は、自己無価値観を含めて自分を受け入れるようにしています。
「私は、こんな人間だよ」というふうに。
俗に言うと、諦めるということですね。
諦めるというと悪いことのように聞こえますよね。
「努力が足りない」
とか
「もっと頑張れ」
とかいうのが本当じゃないのかと。
でも、私はそうは思っていません。
「今の自分は、そうなんだ」
「それで仕方ないんだ」
と受け入れないと先に進めないですから。
ワタシの対策②
チャレンジ
そして、自分を理解したうえで行動する。
そうすると、感情に飲まれながらも自分を振り返ることができます。
「ああ、自分はいま無価値観を感じているな」
「だから、相手から離れたくなっているな」
ということや
「すごくつらい」
「相手の言動を勝手にネガティブに捉えているな」
という具合に。
完全には無理でも、一定の歯止めをかけることができます。
繰り返し行動、チャレンジすることで、心の中に違う信念も育ってくると感じています。
「人は、怖い部分ばかりじゃない」
「私と親しくしてくれる人もいるかも」
というふうに。
もう一つは、本当に自分が役に立ちたい人を見分ける目が育ちます。
「本当に、この人の役に立ちたいと感じる」
という具合です。
ワタシの対策③
環境は自分で作る
周りには徐々に、できるだけ自分のことをカミングアウトするようにしています。
・自分のことを伝える
・感情表現をする
いわゆる、ありのままの自分を出すようにしていると。
注意点は「徐々に」ということで、段階を追ってということですね。
いきなりディープなカミングアウトをしても、相手もどうしてよいか分からないでしょうから。
カミングアウトを進めることによって、私を嫌う人が出てきました。
実は、これは良いことで、自分と合わない人が分かるようになるということです。
誰かに嫌われないようにと自分を抑えると、結局は誰とも仲良くできない、ますます自分が分からなくなるということになります。
自分が何者なのかを周りに伝えることによって、仲良くする人と、そうでもない人が区別されて、生きる環境が良くなります。
カミングアウトすることが自分の世界を作ることになります。
私のなかでは、仲良くするのは2~3人で充分。
それ以上だと、自分がしんどくなるという感覚を持っています。
そんなに器用ではないので、多すぎないことです。
ということで...
以上、今回の考察と対策です。
仲良くしたい人には
・自分のことをを伝える
・自己判断せずに相手に聞く
そのうえで距離感を調整していくようにしたいと思っています。
まだまだ自分も人も信用することができていません。
人との関係で気分が沈むことは多いですが、これも上手く付き合っていく感情ですね。
ジブンとの付き合い方が
まだまだヘタなのかもね
・エピローグ
高い壁を作っていた3人目のレンガ職人は長い間、孤独に苦しみました。
「ちょっと壁を低くしてみよう」と試しに壁を壊しはじめると、外から良い匂いが入ってきます。
匂いのするほうを見ると、そこには大好きなプリンを作っている弟がいました。兄が帰ってきたときのために日々プリンを作っていたそうです。
苦しみもあれば、楽しみもある、それが人間関係なのかもしれません...
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