どこか生きづらい少女たちの日常・・・ 真面目なバナナちゃんの日記

「かんもくって何なの?」の感想と活用 緘黙症に苦しむ本人と家族へおススメしたい涙と気付きの一冊

ヤキッチ&くリッチ
たまには読書でもどう?
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作者:モリナガアメ先生

MINO

MINOの読書感想文です。

まだまだ数の少ないと思われる緘黙(かんもく)症の本です。

前書きで「他の当事者の方々に全て当てはまるわけではない事をご了承いただき」とありますが、あまりにも共感できすぎて泣けてきました。
忘れていた過去が思い出されて、正直、読み進めるのが辛かったです。

作者の性格や個々のエピソードが、私とまったく同じということはありません。
でも、緘黙症真っただ中の幼稚園から小中学生時代、高校デビューを図ろうとして迷走したこと、社会人になっての(緘黙時代の)後遺症、ほんとに酷似しています。

意思表示で「首を縦にふるか、横にふるか」、また「感情を顔に出さない」などは緘黙症の方々が身につける共通の振る舞いではないでしょうか。
当事者だからこそ分かる気持ちが深く掘り下げられていて、「そうそう」「あるある」の連続です。

悲惨な話が続くのですが暗くなりすぎないのは、自分の体験を客観的に眺める視点で語ろうとしているからだと思います。
よくぞ、ここまで頑張れたなという感動と羨望と...
作中の随所に入る作者自身へのツッコミも、過去を思い出しながら私も自分の記憶を整理することができるヒントになりました。
この心の中での自分自身へのツッコミも、自尊心が低く自分の言葉に自信が持てない緘黙症あるあるなのかなと...

MINO

ふと、思い出すことが。。。

この本を読んでいて、相方(もう一人の管理人)のSHIRURUが言っていたある言葉を思い出しました。
周りから、ひどい扱いをされることに対してSHIRURUが「何してもいいと思われている」とポツリと言ったこと。
その言葉は私の心にも、なぜか強く残っています。

考えてみれば、苦手ながらもある程度の自己主張ができるようになり、忘れていた感覚です。
そう、周りから軽く扱われる感覚、何でも押し付けられる感覚、後回しにされる感覚、放っておかれる感覚、もろもろを含めて「何してもいいと思われている」という感覚。
その感覚を思い出しました。

私自身がトラウマとして振り返らないようにしていた感覚なんでしょう。
それが一気に思い出されました。

MINO

なぜ、SHIRURUの言葉を思い出したかというと。。。

この本全体のエピソードも、大人しくいうことを聞く作者に周りが好き放題するというものが多く語られているように思います。

バイト時代の店長とのエピソードもまさに、何も自己主張しないのをいいことに行動がエスカレートしていく様子が伺えます(詳しくは作中でご確認ください)。
「この子なら何も言わないだろう」「何しても大丈夫だろう」というのが透けて見えます。
しかも、これも似たようなのを覚えがあるぞと...

MINO

うん。。。

「ひどいことされて怒らないほうもどうかしてる」
「はっきりしないから悪いんだ」
と思われる方も多いでしょう。
その見方を否定しようとは思いません。
私も、相手からそう言われたら納得できるし。

でも、自己主張したくても、自尊心を持ちたくても、それができないという感覚もあるんです。
頑張ろうとするほど固まってしまったり、空回りしたり。
多くの方に、その視点も少しご理解くださると嬉しいなと思います。
世の中、色んな人がいますから。

高い自尊心や自己肯定感を持っている人もいれば、真逆の人もいます。
「そういう人もいるんだな」というふうに。
もちろん私自身も、自分の常識にとらわれず人を理解するようにしなければと思います。
どうにも自虐に走りやすい私ですので...

この本は、緘黙症の人はもちろん、「何してもいいと思われている」という方々には共感もできる内容です。
また、客観的に自分を振り返る教科書にもなります。
マンガとしても、絵柄が可愛らしくて、ストーリー展開も読みやすくまとまっています。
上手だな...

また、身近に「大人しいな」と感じる人がいる方にも、その人を理解する一助になると思います。
自尊心の高い方々も、他人の理解にもおススメですが...まあ、そういう人はこの本に行き当たらないですかね。
すいません...

色んな人に読んでいただきたい、当事者目線の、気持ち(怨念?)が詰まった本です。

MINO

追記です。。。

この本を読んでいて、とっても気になる点が...

作中でお母さんの顔だけが、ほとんど「のっぺらぼう」だということ。
輪郭はあるけど、表情が書かれてないんです。
他の家族は全員、書かれているのですが...

作者のお母さんに対する感情はどんなものか、作中で述べられている以外の感情を持っているのか、いろいろと想像を巡らせてしまいます。
全てを克服するのは難しいと思うし、一生付き合っていかなければならない感情もあると思います。
そういう感情の一つかなと...嫌いなはずだけど離れられない、嫌いと言い切れないというような...

母親の存在が最も大きいがゆえに、表現しきれないのかもしれないですね(邪推です)。

いずれにしても、この本を世に出してくださったモリナガアメ先生の勇気に感謝です。
後書きに「少しでも寄り添えていたら嬉しいです」とありますが、私にとってはすごく寄り添っていただきました。

ありがとうございます。

続刊が出ているのですが、早く電子書籍にならないかなと...

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